源氏物語と梅花
いかがお過ごしですか?
以前、平安時代を代表する香り「六種の薫物」について学びましたね。
今回は、そのうちの一つ「梅花」について豆知識。
梅花は源氏物語の 32 帖「梅枝」(うめがえ)に登場します。
「梅枝」の中でも六条院の薫物合せのストーリーです。光源氏のたった1人の娘である明石の姫君の皇太子との結婚の準備に際し、姫君に持参させる薫物の調合を4名の源氏の女君たち、紫の上、朝顔の君、花散里、明石の君に依頼します。
入浴する習慣のない平安貴族にとって香(薫物)を薫きしめることは身だしなみの一つです。香りを聞き分ける能力を磨き、個性を発揮して人柄と教養が滲み出る調合に気を配ったそうです。今で言うところのシグニチャーセント(香りのパーソナルブランディング)です。
梅花の調合をしたのは育ての母、紫の上です。朝顔の君は黒方を、花散里は荷葉を、実の母、明石の君は衣薫香(くのえこう)を調合しました。
なお、梅枝は現在の2月10日頃に行われたそうです。ちょうど私がお香に触れるきっかけを作ってくれた母の誕生日です。なぜか、源氏物語でも娘を思う母(や母代わり)が主役のこの帖、1000年前とのつながりを感じます。
さて、梅花は梅の花をイメージした春を感じる華やかな香りです。
平安時代に「梅花」の練香は春しか使えない決まりがありました。梅の花の色と香りを楽しみながら、梅花の薫物を室内で薫くというのは、趣き深い楽しみかもしれませんね。
BAIKA|梅花 の香りを聞いて、嫁ぐ明石の姫君を思って香を調合した源氏の女君たちを思い浮かべてみませんか?
BAIKA|梅花(フルサイズ)
Have a Scentful Day!